非平衡古典流体力学についての雑感:BBGKYからNavier-Stokes

Navier&Stokesの両氏
おそらく圧倒的大部分の方々が、
N体の分布関数→Liouville方程式→BBGKY→BBGKYの最低次つまり2体と一体の分布関数の微積分方程式→molecular chaos
→Boltzmann方程式→局所平衡の仮定→平衡からのずれは小→摂動可能
→Chapman-Enskog法あるいはGradの13モーメント法
→積分して連続の式
→Navier-Stokes方程式
てな具合で気体は力学から流体力学までのストーリーが出来上がっていると考えておられよう(たとえば
この本とか
この本
を参照)。
しかし、よく考えてみれば非平衡系では素朴な系でもハミルトニアンがあらわに書けないことが多い。従ってポワソンの括弧式経由で
Liouville演算子が書けない。対流のない1次元熱伝導などよい例だ。
だからこの場合初めから前提が崩れてしまう。(容器壁などと相互作用のない)孤立系の分布関数が温度などの境界条件だけを満たす
ように形式的に決めただけである。よって流れをミクロからみる立場的には、物理としては完全にはずしている。もちろん、幾多の成功例と
蓄積された歴史の重みは、経験科学としての物理として気体力学(流体方程式の基礎づけの部分ね)が最優等生のひとつであることを
保障していると私も考えている。
だからどうせいといわれても、アイデアはないのだが。
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