電磁気学の教科書・参考書


 この文献リストは、元はといえば技術系新人研修用に、
電磁気学のミニマムを最短で学ぶ本のリストを作っているうちにできたものです(増殖してますが)。
 新しい本についてはよく知らないので、以下の本(や言及したもの)の中で1冊選ぶとしたら、
理学系にはA1の「電気磁気学」を工学系には岩波の(昔全書いま教科書シリーズの)砂川「電磁気学」がお奨めです。
 逆ではありません。
一般教養課程の物理学(物理学概論とか基礎物理学とか物理学入門とか昔は本も一杯ありました)亡き後では、
こうでもしないと偏ってしまいます。
 極めて常識的なありきたりな意見で申し訳ないが、ネットで落ちてるPDFや驚異的に初歩なものや高度な本で冒険に行く前に、
ぜひ落ち着いて取組んでみてください。

 あと1冊の本を読むときは、
1.地球の歩き方を読むようにざーと読む(これで気に入らなければ無視で結構)
2.徹底的に丁寧にノートをとりながら読む(もちろん数式のチェックもする)
の二通りをぜひ両方やってみてください。


レベル(目安)
☆:読み物 ★:最初の一冊向き ★★:教科書向き ★★★:これで一応O.K. ★★★★:これより先は趣味 ★★★★★:電気力学だな

A:電磁気学の教科書・参考書(大体手に入れた順に記載)
B:電磁気学の演習書 
C:電磁波応用・無線工学関係
D:アンテナ
E:計算電磁気学関係
F:光学など関連する文献
G:磁性など関連する文献
H:渦電流
I:歴史など
J:その他




A. 電磁気学の教科書・参考書


A1. 山田直平 「電気磁気学」 改訂版 , 電気学会 (1966) ★★
     工学部向け。入った電気科のシラバスに書かれていた本。
     買ったときは、難解な本に見えた。それで当時は、コロナ社の「電磁気学ノート」(人にあげて手元にはない)で補いつつ眺めていた。
     現在の版は大分薄くなったので今の目からすると物足りない。この古い版なら、いまでも工科系向き標準教科書といえる。
   
A2. 砂川重信 「理論電磁気学 第2版」, 紀伊國屋書店 (1973) ★★★
     物理科に変更してから古本屋で購入。ちゃんと読んだのは、1陸技をパスして就職を考え始めたころ。
     ぜひ電気屋にも薦めたい。
     これと「詳解電磁気学演習」もだ。
     古典電磁気学の骨格の習得用としては優れているのだが、
     電気屋は別途個別のテーマの詳細を自分の趣味と目的にあった本で補う必要がある。
     数式の導出が親切なので、これで物理数学に慣れるという利点もある。決して難解な本ではない。

A3. 中村輝太郎 「セミナ電磁気学」, 丸善 (1986) ★
     そんなに程度は低くないが、ざっと全体像を把握するのに役立った。数式のチェックをせず2週間ぐらいで読んだ覚えがある。

A4. 神田貞之助 「電磁気学」, 共立物理学講座8 共立出版(1981) ★★
     指定教科書。コンパクトすぎて深みが足らないが、バランスは良い。
     当時の講義ノートのコピーから判定して講義担当者は、
     昔の厚くなる前のジャクソンの電磁気学(紀伊國屋書店から出てた)をネタに講義をしていたらしい。
     というのも当時はまじめに電磁気に取り組んでなかったし、講義にも出なかったからわからないのだ。
     当時読んでいたのは、岩波全書時代の砂川電磁気学。
     (手元にはもうないが)今から見ると、工学部用には向いてないな。
     電磁波のパートの教科書は、同じ共立物理学講座の谷川安孝「電気力学と相対論」だったそうだ。
 
A5. ランダウ、リフシッツ 「場の古典論」, ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 東京図書 (1964) ★★★★★
     物理屋には説明不要本だが、電気屋にも導出は気にする必要なくトピックの拾い読みを進める。
     光学との関係に触れたりして、新鮮に見えるはずだ。そういう見方は職についてから知った。

A6. 青野修 「いまさら電磁気学?」、パリティブックス 丸善 (1993) ☆
     パリティ連載時に読んだが、単行本で手に入れたあとはほとんど読んでない。ざっと全体像を把握するのに役立たなかったからかな。

A7. ファインマン、レイトン、サンズ 「電磁気学」、ファインマン物理学3 岩波書店 (1969) ★★
     力学や量子力学の巻と比べると大分教科書ライクだが、面白い本であることに変わりはない。
     初心者が読み始めるのにはいいが、試験対策にはならないので注意。
     相当突っ込んだテーマも入っていて、その辺臨機応変に対応しないとそこでリタイアになる。
     理論電磁気学程度マスターした人が、一気読みするとまた別の快感があるはずだ。

A8. ファインマン、レイトン、サンズ 「電磁波と物性」、ファインマン物理学4 岩波書店 (1971) ★★
     そのようにしてファインマン物理は力学から量子力学まで一気読みしたので、教科書として使用した場合に対するコメントはしずらい。
     ただ位相の観点が強調されすぎているきらいはある。
     ま、一家に一冊本なので、ぜひ所有したまえ。

A9. 平川浩正 「電磁気学」新物理学シリーズ2 培風館 (1968) ★★★
     理論電磁気学から説明文を抜いたような本。ハンドブック的に利用している。

A10. 平川浩正 「電気力学」, 新物理学シリーズ12 培風館 (1973) ★★★★★
     上記の本で相対論を意識して書き直した感じに仕上がっている。ハンドブック的に利用している。

A11. A. O. Barut: Electrodynamics and Classical Theory of Fields and Particles , Dover (1980) ★★★★★
     初めて買った洋書。ほとんど読んでない。

↑ ↑ ここまで学生時代に購入 ↑ ↑


A12. J. D. Jackson: Classical Electrodynamics 2nd ed., Wiley(1975) ★★★★
      当時上司に、「お前は電磁気がわかってない」、といわれて何をこのやろうと思って発作的に買ってしまった。
     誰でも知ってるいわば外国における電磁気学の定本的存在だが、現在の(所有している)分厚い奴は、通読には適さない。
     先に触れた和訳があった版(あそこまで厚くない)を、章末問題を解きつつ読むのがよい。
     だが個人的にはパノフスキーの本のがいいな。
     知ってる外国の大学では、
     バークレーのPurcell本が電磁気学の教科書でこのジャクソンの薄い版を電気力学の講義テキストにしていた。

A13. ランダウ、リフシッツ 「電磁気学 1,2―連続媒質の電気力学」, ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 東京図書 (1982) ★★★★

A14. 太田浩一 「電磁気学1,2」 丸善物理学基礎コース 丸善 (2000) ★★★★
     旧:電磁気学の基礎。
     歴史的・原論文主義の本で、スタイルと薀蓄についてはピカイチだが、初心者向けではまったくない。大人の電磁気学。

A15. 太田浩一 「マクスウェル理論の基礎―相対論と電磁気学」 東京大学出版会 (2002) ★★★★

A16. 今井功 「電磁気学を考える」, サイエンス社 (1990) ★★★★

A17. 中山正敏 「物質の電磁気学」, 岩波基礎物理シリーズ4 岩波書店 (1996) ★★★
     古典電磁気学の枠内での磁性について、知識の補充用に買ったが、いまいちだな。
     だが工科系の講義ではさらっと飛ばされるDとH(ようするにεとμ)について電気屋が学ぶにはよい。
     基板設計に関係しそうな人は在学中に読むと良い(社会に出ると時間がない)。

↑ ↑ ここまで無線屋時代に購入 ↑ ↑


A18. J. D. Kraus: Electromagnetics with Applications 5th Revised ed.McGraw-Hill Series in Electrical and Computer Engineering McGraw-Hill (2005) ★★★
     アンテナの大家による電磁気学本。高周波系の仕事に就いたら、持ってると便利だ。

A19. 高橋秀俊 「電磁気学」 , 物理学選書3 裳華房 (1959) ★★★
     理論電磁気学と見事に対照的なのがこの本。現象から入りたい人向け。
     だが電気屋向けかといわれると、ちょっとな。
     回路にも物性にも言及しているが、それらは他の本で学んだほうがよさそうだ。

A20. スレイター、フランク 「電磁気学」 第3版 , 丸善 (1977) ★★★

A21. V. D. Barger and M. G. Olsson:Classical Electricity and Magnetism: A Contemporary Perspective、Allyn & Bacon (1987) ★★
     ちょっとファインマンを連想させる趣向に満ちた楽しい本だ。
     学習目的というより講義を聞いた後に趣味で読むと、すごく得した気になるのではないか。
     とはいっても、同じ著者の力学のほうが遊び心に富んでいる。もっと遊んで書いても良かったのではないか。
注意:和訳(バーガー・オルソン:電磁気学ー新しい視点にたって)のほうには詳細な問題回答がついているが、原著にはない。

A22. D.S. Jones : Theory of Electromagnetism , Pergamon Press (1964) ★★★★

A23. W. B. Smythe : Static and Dynamic Electricity , McGraw-Hill(1950) ★★★★
     いろんな細かい事項の厳密解が収録されている。計算機がない時代の貴重な一品。
     Morse&Feshbachの本を思わせる代物。おそらく現在では、いきずまったときにひもとくマニアックな本。

↑ ↑ 社員教育用の参考に購入(初めて新入社員の採用を部署で検討した頃) ↑ ↑


A24. 熊谷信昭 「電磁理論」 , 電子情報通信学会大学シリーズ B-1 コロナ社 (1990) ★★★

A25. 山口昌一郎 「基礎電磁気学」 , 電気学会 (1990) ★★★

A26. 吉村三智頼 「Excelで電磁気学の解法がわかる本」 , 秀和システム (2009) ★

A27. 高橋康 「電磁気学再入門 QEDへの準備」 , 講談社 (1994) ★★★★★
     ブックオフで奇跡の500円で発見し、あの語り口を期待して買ったが、とても社員には薦められない。ひきつけ起こされそうだ。
     自分のリハビリ用にゆっくり読むことにする。

A28. 後藤尚久 「なっとくする電磁気学」 , 講談社 (1993) ★
     アンテナ屋によるマニアックな電磁気学を期待したが、物質やその他の電磁気学の概念説明が上手くて、嬉しい誤算だった。
     "なっとくする"シリーズじゃなければもっと売れただろうな。

A29. 小塚洋司 「電気磁気学 その物理像と詳論」 , 森北出版 (1998) ★★
     タイトルどうり工学より。
     上の「なっとくする電磁気学」と同等のレベル。また社員教育用の参考書として買ってしまった。
     入門書だが、磁性が強調されている。ま、電気磁気学という本をあまり見てないからかもしれないが。

A30. パノフスキー・フィリップス 「電磁気学」 , 吉岡書店 (1967) ★★★★
     "Classical Electricity and Magnetism"の訳本。
     社員教育に直接役立つ訳ではないので、ノスタルジーに浸るためだけに買ったようなもんだ。
     実際この本は、ずーと(2,3年はゆうに)学部の頃古本屋に置かれていて、そのうち買おうと思っていたが買い損なったものなのだ。
     原著には、院の修了試験対策時に世話になった。

A31. 小谷正雄 「電磁気学 上中下」 , 岩波講座現代物理学 I. B. 岩波書店 (1955) ★★★
     久々に本棚の一番奥から取出した。
     この講座を、古本屋で全巻7800円で買ったのは学部時代だが、電磁気学はあまり見なかった。
     今見ると、その理由がわかる。ちょっと学部向きではない。
     砂川理論電磁気学に無理が無くなってきたとき役に立ち始めると思う。
     上のパノフスキーと同じで、院の修了試験対策時に世話になった。

A32. 宇野亨、白井宏 「電磁気学」 , コロナ社 (2010) ★★
     「今度こそ社員教育に使えそうな本だと期待している。もう少し見てから何か書く。」と書いてから半年がたった。
     現在の使用感では、いまの初学者向けではないようだ。もっと簡単なものをと、言われてしまった。

A33. E. M. Purcell and D. J. Morin:Electricity and Magnetism、Allyn & Bacon (1987) ★★
     SI単位系に生まれ変わったバークレー電磁気学。
     前の版は所有してないし大して読んでないから、つい買ってしまった。内容については、またいずれ。

A34. 広瀬立成:「EとH, DとB」, 物理学One Point 10 共立出版 (1981) ★★
     どうしてもBとHの違いをちゃんと知りたいという部員達の要望に答えるため、買ってみた。
     しかしこの本で理解できるなら、これまでの私の説明で理解できるはずだ。でもダメだったのだ。
     まあ図がいっぱいあって、他の本の記述を自前でつないで理解するよりは、早く理解しそうだが、やっぱり厳しいと思う。
     上記のいっぱいある本の中では、手間はかかると思うし無理強いは到底できないが、
     砂川理論電磁気学の静磁場の章を算数をマスターしたあと読むのが一番妥当に見える(物性に触らないならここまでなのだ)。
     わが部員に要求しないが、BとHの違いをちゃんと知りたい方は、だまされたと思ってやってみて下さい。
     本に戻ると、1章の電磁気学のあゆみはいい、よく書けてる。ここだけでも読ませるかのう。

A35. 太田浩一 「電磁気学の基礎I,II」 ,東京大学出版会 (2012) ★★★★
     すでに持ってる「電磁気学1,2」の改訂版だが、とある理由で必要となり、部分コピーでもよかったのだが大人買い。
     かなりすっきりした感じになっている。字が大きくなった。

A36. 太田浩一 「マクスウェルの渦 アインシュタインの時計」 ,東京大学出版会 (2005) ★★★★
     科学史的関心から購入。もはや社員研修用とはいえない、完全に趣味だ。すぐ読みたいところだが、ウェストフォールが....

A37. Roger F. Harrington :Time-Harmonic Electromagnetic Fields McGraw-Hill College (1961) ★★★★
     内容についてはまたいつか

A38. 小林稔 「電気力学」 ,岩波書店 (1977) ★★★★★
     別件で行った明倫館でゲット。
     平川「電気力学」と好対照あるいは逆順で電気力学が語られている。
     もはや社員研修用とはいえないが、自分のためにはなる。掘り出し物だ。

A39. 細野敏夫 「メタ電磁気学」 ,森北出版 (1999) ★★★★
     タイトルでドン引きするのはまだ早い。
     ここでは、徹底的な電磁気学基礎論といった内容に、あえてこの名を採用したようだ。
     公理的なあるいは構成論的な電磁気学の構築を通して、世の中にある混乱やあいまいな記述を直し、
     それらがどんなルートで登場し生き残ってきたかを、熱く語っている。
     いや、頭が下がります。
     「電磁波工学の基礎」の著者だが、印象は全然違う。まさに電磁気学を教える立場の人のための本だ。

A40. ハリディ・レスニック・ウォーカー「電磁気学」 , 物理学の基礎[3] 培風館 (2002) ★
     部署に新人が来る。生命科学系の出ゆえたぶんこの本レベルから始めるしかない。
     ただこの本は、ビジュアルに優れているので高校生でも取りつきやすく、
     説明が丁寧なので教育的立場にある人は持ってると便利だ。
     ベクトル解析はおろか昔の数III程度で、駿台の山本:新物理入門より少ない算数で記述されている。

A41. 前野昌弘「よくわかる 電磁気学」 , 東京図書 (2010) ★
     部署に来た新人と話すうちにこの本が向いてそうだと判断した。
     自分用に買うかどうか迷っていたが、掘り出しで見つかったので購入。
     あらためてよく眺めると、自分の穴が発見されてしまった。
     普段考えていないことは結構適当な理解のまま放置しているなあ。反省

A42. 和田純夫「電磁気学探求ノート」 , SGCライブラリ186 サイエンス社 (2023)
     購入を躊躇していたが、6章以降を読んでたいへん参考になった。
     残念ながら新人教育には全く向いてないし、新人向けに話す内容でもない。
     結局自分のために買った様な物だ。そろそろ止めにしないとな。
     でもグリフィスは買うかもしれない。

A43. オッペンハイマー「電気力学」 , 物理学叢書13 吉岡書店 (1960)
     神田古本まつりでゲット。とても新人教育には使えない。
     またもや自分のために買った様な物だ。そろそろ止めにしないとな。

↑ ↑ 現在まで(無銭屋) 完全にコレクター化している ↑ ↑



B. 演習書


B1. 後藤憲一、山崎修一郎 「詳解電磁気学演習」, 共立出版 (1970) ★★★
     おそらく社会に出て最も役に立った電磁気本だ。
     これは演習用ではなく、引くための本だ。
     要するにこれを(理解不能で全然役に立たないのではなく)、ハンドブック的に手軽に利用でき業務に役立てられることが、
     技術者にとって電磁気学習得の必要条件といえるのではないか。
     部員がそうなるよう、仕向けているがなかなかだ。
     昔仕事さしてもらった、さる日本を代表する総合電機会社の研究所のさる研究室では、見た限り全員が持っていた(会社支給か?)。

B2. 宮島龍興 「演習電磁気学」, 現代物理学演習講座3 共立出版 (1961) ★★

B3. M. Fogiel ed.:The Electromagnetics Problem Solver, Revised ed.、Rea's Problem Solvers Research & Education Assn (1984) ★★

B4. 霜田・近角 編 「大学演習電磁気学」, 裳華房 (1959) ★★

B5. C. M. Lerner:Problems and Solutions in Electromagnetic Theory、John Wiley & Sons (1985) ★★

C. 電磁波応用・無線工学関係


C1. 宇田新太郎 「無線工学 1 新版 伝送編」、丸善 (1974) ★★
     はじめは使ってなかった八重洲のFRG-7を復活させたときに購入。
     物理のM1の目で見ると読みやすく面白くてはまった。
     その後1陸技無線工学Bのの参考書として愛用。古臭い佇まいがいい。
     ある意味で人生の転回点に誘導した懐かしい本。

C2. 細野敏夫 「電磁波工学の基礎」, 昭晃堂 (1973) ★★
     手際よく纏まっていて、周辺領域についての関係も書かれていて、参考文献も充実している。
     決して高い程度ではなく、昔の教養の物理の電磁気がマスターされていれば、難なく読みこなせるはず。
     だが、難しいと言われてしまった。
     はあ、一体どうすればいいんでしょうね。
     私見では、義務教育における教科書の検定を廃止するしかないのではと考えている。
     要するに、本が読めないことが最大の原因ではないか。
     手取り足取り、誤植も読み方のぶれもない、マニュアルや予備校テキスト以下のとっつきやすさのものを教科書だと信じている、
     そういったやわな神経がまずいのではないか。

C3. C. H. Papas:Theory of Electromagnetic Wave Propagation Dover (1988) ★★
     ↑の本では浅いかなと思い紹介したが、たぶん読まれないだろうな。
     理由はもちろん英語ではなく、上記の通りだ。安くて、便利な本なのだがなあ。

C4. 倉石源三郎 「詳解例題・演習マイクロ波回路」、東京電機大学出版局 (1983) ★★
     ネットワークアナライザと付き合うようになったら、持ってるといい。
     雑誌「RFワールド」もご一緒に。

C5. 宮島龍興、津屋昇 「演習電磁波・磁性」, 現代物理学演習講座8 共立出版 (1961) ★★★ 

C6. 中司浩生 「学生・技術者のための 電磁波の散乱」、森北出版 (2012) ★★★★
     仕事で金属による電磁波の散乱の詳細が必要になったため購入。
     砂川理論電磁気学の散乱の章の先に当たる内容が必要だったのだ。
     位相のずれに関する議論が少ない。工学よりだな(タイトルから当然だが)。レーダー向きかな。

C7. A. A. Kaufman and P. A. Eaton:The Theory of Inductive Prospecting Elsevier Science (2011) ★★★★
     その仕事とは、地中の金属を探すことなのだ。
     それで、↑の本ではちょい合わないので、高価だが自腹で購入。
     ページ数ばっちりで、イントロの電磁気学の復習の章も良く書けてて、
     何より仕事で必要なことがズバリ書かれているので、お買い得だった。
     しかし関係者以外には、用無しだな。著者は、StrattonとSmytheを絶賛していた。
※底本:A. A. Kaufman and G. V. Keller:Inductive Mining Prospecting: Theory Pt. 1

C8. James R. Wait:Geo-Electromagnetism Academic Press (2012) ★★★★
     電気探査がらみに詳しい記述。ベッセル関数の威力が感じられるであろう。
     和書ではこんな本見つからん。

C9. James R. Wait:Electromagnetic Waves in Stratified Media: Revised Edition Including Supplemented Material Pergamon (2013) ★★★★

C10. Misac N. Nabighian:Electromagnetic Methods in Applied Geophysics: Vol.1: Theory Pergamon (2013) ★★★★
     
C11. Robert E. Collin:Foundatios For Microwave Engineering 2nd ed. McGraw-Hill (1992) ★★★★
     相談されたことの解決につながると思うところがあって、たまたま安く見つけたので購入した。
     噂のとおり丁寧でしばらく楽しめそうだ。というより和書が薄すぎてきっちり書く
     余裕がないのだな。

D. アンテナ


D1. 後藤尚久 「アンテナの科学―電波の出入りを追う」, 講談社 (1987) ☆

D2. 後藤尚久 「アンテナがわかる本」, オーム社 (2005) ☆
 
D3. 新井宏之 「新アンテナ工学―移動通信時代のアンテナ技術」、総合電子出版社 (1996) ★★

D4. 遠藤・佐藤・永井 「アンテナ工学」、総合電子出版社 (1979) ★★

D5. ダイナミック・ハムシリーズ5 「アンテナ・ハンドブック」、CQ出版 (1985) ★★
     アマチュア無線家向けで読み物的に書かれてはいないが、理論の本ばっかじゃなんだから挙げた。

D6. ダイナミック・ハムシリーズ7 「コンパクト・アンテナブック」、CQ出版 (1988) ★★
     上の本と比較すると、薄いが十分読み物としても楽しめる。
     日本の住宅事情についても考えさせる。
     いま首都圏でアンテナ作って遊べる環境って、神奈川サイドで考えると海老名・厚木以西になるだろうな。
     しかし子供が携帯持ってるこのご時勢にアンテナ製作って、その道のエンジニアにならない限り縁遠くならざるをえないな。

D7. C. A. Balanis:Antenna Theory Analysis and Design 3rd ed. Wiley (2005) ★★★★

D8. W. L. Stutzman and G. A. Thiele: Antenna Theory and Design 3rd ed., Wiley (2012) ★★★★

D9. 虫明康人 「アンテナ・電波伝搬」、電気通信学会大学講座18 コロナ社 (1961) ★★
     コンパクトで良い。
     「無線工学 1 新版 伝送編」と合わせて読むとノスタルジックに浸れる。
     上記↑と異なり、今となっては物足りないがなんというかなあ。あの原島鮮:力学を感じさせる。

E. 計算電磁気学関係


E1. 小西良弘監修 「電磁波問題へのアタックの仕方」、電子通信学会 (1977) ★★★★

E2. 飯島泰蔵監修 「電磁界の近代解析法」, 電子通信学会 (1979) ★★★★

E3. 坪井始、内藤督 「実践数値電磁界解析法」、日本AEM学会:電磁力応用シリーズ2 養賢堂 (1995) ★★

E4. 橋本修、阿部琢美 「FDTD 時間領域差分法入門」、森北出版 (1996) ★★
     最初に入った会社の上司が薦めたというか「俺も読むからお前も読め」で読むことになった本。
     アンテナ設計・解析を希望していた私に、提案してきたのだ。
     会社持ち有料セミナーに参加させるなど、いい上司だったなあ、当時はそうは思わなかったが。

E5. 山下栄吉監修 「電磁波問題の基礎解析法」、電子情報通信学会 (1987) ★★★

E6. A. Taflove: Computational Electrodynamics: The Finite-Difference Time-Domain Method, Artech House on Demand (1995) ★★★
      FDTD法の教科書。
     さて月日は巡り、アンテナとは関係いないお仕事の都合でいじるかもしれないので、購入。
     有名な本の初版。基本的なところの復習用手に入れた。

F. 光学など関連する文献


F1. G. R. Fowles: Introduction to Modern Optics , Dover(1989) ★★
     ヘクトの本を希望されたが、持ってなかったのでこれを薦めた。その後音沙汰がない。
     よく書けていると思うのだがなあ。久保田氏とか「光の鉛筆」のほうが良かったのかな。

F2. M. Born and E. Wolf: Principles of Optics, Fifth Edition: Electromagnetic Theory of Propagation Interference and Diffraction of Light、Pergamon Press (1975) ★★★★

F3. 永田信一 「図解 レンズがわかる本」、日本実業出版社 (2002) ☆or★ 
     これはいい。へたな、いまは無くなった、昔の教養の物理の本の該当部よりずっとわかりやすく便利だ。

F4. 霜田光一 「レーザー物理入門」、岩波書店 (1983) ★★ 
     遠い昔量子光学に惹かれて、その手の本を読んでいたころから知っていた。
     昔から欲しかったが何故か縁なく、bookoffに漫画を買いに行って偶然見かけたので手に入れた。
     なるほどよく書けている。
     第2量子化を知らなくても、物理化学の本程度の量子論と統計力学がなんとなくでも解っていれば、レーザーの入門できる。
     今思えばあの頃は、いわゆる光学の素養(というか常識)や波動光学をすっ飛ばして取り掛かったので玉砕したのだと、
     この本でやっとわかった。
     これ終わったら、ラウドンやヤリブを引っ張り出すかのう。

F5. チームオプト編集委員会 編 「光の教科書」、オプトロニクス社 (2016) ★ 
     国際光技術者検定試験の対策用に購入。
     この文献リストを作成してから初めて、この分野で自分だけのための学習用の本を買った。
     内容は、数式を押さえた光学入門だ。
     普段だと、ブルーバックス以外では買わないタイプの本だが、自分に光についての常識がないせいですごく面白い。
     ちょっと値が高いが許す。
     試験に無関係にもっと早く読めばよかった。ま、光学関係者には、物足らないあるいはつまらないになるだろうが。

G. 磁性など関連する文献

 
G1. 谷腰欣司 「磁石のはなし 」、日刊工業新聞社 (1996) ☆

G2. 太田恵造 「磁気工学の基礎 1,2.」、共立全書 共立出版 (1973) ★★★
     一押しかな。
     物性物理ではなく、磁性素材開発の関係者でもない、普通の仕事ならこれで十分だと思う。
     私の不幸は、磁気に関係するとはいえ、ただの技師なのにこれでは不十分だということだ。
 
G3. Soshin Chikazumi :Physics of FerromagnetismInternational Series of Monographs on Physics, Oxford Univ. (1997) ★★★
     裳華房の近角聡信著:強磁性体の物理の英語版。
     お世話になっております。ご冥福をお祈りさせていただきます。(2016)

G4. Harry E. Burke 「磁気現象ハンドブック」、共立出版 (1995) ★★★
 
G5. ストーム 「磁気増幅器」、コロナ社 (1959) ★★★
 
G6. Stephen Blundell 「固体の磁性」、内田老鶴圃 (2015) ★★
 
G7. キレンスキー 「磁性体の物理」、総合科学出版 (1968) ☆or★
 
G8. D. Craik: Magnetism: principles and applications、Wiley (1995) ★★★
     ちょっと知りたいことがあって、物性物理でも応用・工学向けでもない磁性の本を探している。
     上の「固体の磁性」の参考書に挙がっていたので買ったが、目的のものは書いてなかった。また探す。

G9. 毛利佳年男:「磁気センサ理工学」、コロナ社 (1998) ★★
     よい入門書だと思う。

G10. 近角聡信 編 「磁気」、実験物理学講座17 共立出版 (1973) ★★★★
     お世話になっております。ご冥福をお祈りさせていただきます。(2016)

G11. 電気学会 マグネティックス技術委員会:「磁気工学の基礎と応用」、コロナ社 (1999) ★★
     初版本である。太田恵造本で溺れそうならこちらがよい。磁化のダイナミクスの初等解説は
     意外に他では少なく、この本は重宝しそうだ。
 
G12. Allen H. Morrish :The Physical principlea of Magnetism John Wiley &Sons, Inc. (1965) ★★★
     どうしても知りたい事があり、この本に書いてあるかはわからんが、買ってみた。
     内容についてはまた。

H. 渦電流(お仕事の都合必要となった、情報大募集中)


H1. J. Lammeraner and M. Stafl: Eddy Currents, Ilife Books, Czechoslovakia(1966) ★★★★

H2. P. HAMMOND and M. A. Member:
      THE CALCULATION OF THE MAGNETIC FIELD OF ROTATING MACHINES
      Part 3.—Eddy Currents Induced in a Solid Slab by a Circular Current Loop
      The Institution of Electrical Engineers Monograph No. 514 S Apr. 1962
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H3. J. RYU, H. F. Morrison and S. H. WARD
      ELECTROMAGNETIC FIELDS ABOUT A LOOP SOURCE OF CURRENT
      Geophysics 35(1970)5 p.862
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H4. E. E. Kriezis, S. M. Panas and J. A. Tegopoulos
      EDDY CURRENTS: THEORY AND APPLICATIONS
      Proc. IEEE 80(1992)10 p.1559
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H5. S. M. Panas and A. G. Papayiannakis
      EDDY CURRENTS IN AN INFINITE SLAB DUE TO AN ELLIPTIC CURRENT EXCITATION
      IEEE Trans. Magnetics 27(1991)5 p.4328
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H6. H. J. Tsaknakis and E. E. Kriezis
      FIELD DISTRIBUTION DUE TO A CIRCULAR CURRENT LOOP PLACED IN AN ARBITARY POSITION ABOVE A CONDUCTING PLATE
      IEEE Trans. Geoscience and remote sensing GE-23(1985)6 p.834
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H7.
     
     
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I. 歴史など


I1. 霜田光一 「歴史をかえた物理実験」、パリティブックス 丸善 (1996) ☆

I2. 佐藤源貞 「アンテナ物語―その歴史と学者たち」, 里文出版 (2009) ☆

I3. ダビド・K.C.マクドナルド 「ファラデー,マクスウェル,ケルビン―電磁気学のパイオニア」, 現代の科学16 河出書房新社 (1968) ☆
     関係ないが、同著者の「ネルンストの世界」や「絶対零度への挑戦」の書きっぷりはすごい。ほんとに同じ人なのか?

I4. 物理学史研究刊行会 「磁性」、物理学古典論文叢書12 東海大学出版会 (1970) ☆
 
I5. 奥山修平 編 「電気技術史概論」、 ムイスリ出版 (2000) ★★
 
I6. 藤原寛治 「電気にかけた生涯」、 ちくま学芸文庫 (2014) ☆
     上記に挙げたものよりも、バランスと読みやすさでは上だな。
     力学史でいうとブルーバックスと山本義隆氏の著作のあいだくらいか。
     だからある程度知ってる人だと、物足らないだろう。
     しかしそういう人は、もう素人ではない。特定のテーマについて、濃ゆく深く行くしかないな。
     「古典力学の形成」:くらいで普通は満足する。
     マッハ読んだりプリンピキアを個人で所有したり、ましてや原典にあたるためにラテン語をマスターする方は、応援したい。
     私はといえば、電磁界シミュレータのソネットからマクスウェルの伝記が公開されていたが、読み通せなかった。
     ところがハイライト版が日本語で見れる。講演用に用意されたものだそうだ。www.sonnetsoftware.co.jp/product/seminar/dml/summary.pdf

I7. W. ギルバート 「磁石(および電気)論」、 仮説社 (2008) ☆
     板倉聖宣氏による抄訳
 
I8. 三星孝輝 「原典でたどる電磁気学史」、 太陽書房 (2018) ☆☆
     元高校の先生が作った労作。徳島科学史研究会って凄そう。読み始めたばっか、コメントはまたいずれ。
 
I9. 重光司 「電気と磁気の歴史」、 東京電機大学出版局 (2013) ☆
     生体系と電磁気との関係の記述が多い。
     えてしてこの手のはトンデモ系になりがちだが、まずは一読中。
     若干気に触る記述もあるが、話があちこちに飛びよい意味で頭の体操になる。
     まだ少ししか読んでないのに、フランス革命とモーツアルトと平賀源内が登場した。
     歴史好きか文科系向けだな。だがホントは、工学部の奴にこそ読ますべきなのかも。
 
I10. 筒井泉 「電磁場の発明と量子の発見」、 丸善 (2020) ☆・★★
     後半は量子論の生まれるところだが、前半は密度の高い電磁気学史だ。
     初学者向きではなく砂川:理論電磁気学読了者向けだが、要はこういう文章に触れてよい気分に
     なれるところにきていれば実務家としては電磁気卒業ということなのだろう。
     この本を薦められるような部員の養成がどうすればできるのだろうか。

J.その他


J1. 伊藤健一 「アースのはなし」、日刊工業新聞 (1992) ☆
     寝ころがって読める名著のひとつだ。私は、目からうろこが落ちた。年齢を考えると驚異である。
 
J2. 速水敏幸 「電線のスズメはなぜ感電しない―電気&絶縁の初歩の初歩」、ブルーバックス  講談社 (1991) ☆

J3. 堤井信力 「静電気のABC」、ブルーバックス 講談社 (1998) ☆

J4. 高橋秀俊編 「大学演習 回路」、裳華房 (1962) ★★

J5. 見城尚志 「図解・わかる電気と電子」, ブルーバックス 講談社 (1999) ☆

J6. 加藤・見城・高橋 「図解・わかる電子回路」, ブルーバックス 講談社 (1995) ★

J7. H.P.スウ 「フーリエ解析」, 工学基礎演習シリーズ1 森北出版 (1979) ★★
     共立の「詳解電磁気学演習」同様社会に出てからも重宝する1冊。初学者にも非常に向いている希有な本。

J7. H.P.スウ 「ベクトル解析」, 工学基礎演習シリーズ2 森北出版 (1980) ★★
     社会に出てから重宝するわけではないが、初学者には物凄く向いている。
     微積分がある程度できていれば、この本と適当な物理(電気かな)数学の本を座右に電磁気学はマスターできると思う。

J8. 早川正士 「なぜ電磁気で地震の直前予知ができるか」, 日本専門図書出版 (2003) ☆☆
     知合いの指導教官の本。電磁気で地震の直前予知をすべく格闘して、ようやくこの辺だと報告している本。
     読みやすくはないし、ほんまかいなと思うところもあるが、そのエネルギーには感心した。成功するといいですなあ。

J9. 升谷・中田 「高電圧工学」, コロナ社 (1980) ★★

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